説明会エントリー

PROJECT STORY 150年、生き続ける場所をつくる。

旧東京音楽学校奏楽堂
保存活用工事プロジェクト

日本最古の洋式音楽ホールとして
重要文化財に指定されている
「旧東京音楽学校奏楽堂」。
建造から120年以上が経ち老朽化が
進む中で、
今後の30年を見越した
建築設備の更新を當木工事が担っている。
ここでは、当社の業務内容や仕事の魅力を
少しでも知っていただくために、
奏楽堂の改修工事に関わる
當木工事の社員に話を聞いた。

数十年前の図面の解読からスタート。

数十年前の図面の解読からスタート。

奏楽堂は日本最古の木造洋式音楽ホール。通常の民間建築とは違い、苦労する点も多かったと安田は語る。「今回の工事の目的は、これから30年以上音楽ホールとして耐えられる建物に改修するということです。でも、残されている施工図面は数十年前のもの。昔の図面を解読しながら、工事全体のスケジュールである工程表をつくるところからのスタートでした」。しかし、長い年月の間に何度も改修工事が行われていたため、残っている図面とは違う箇所も多々あった。「暗号を解読しながら、答え合わせをしてく感じでしたね。天井裏を見たら、図面と全然違うじゃん!なんてこともありました(笑)」。

ビス打ち一本にも、許可がいる。

ビス打ち一本にも、許可がいる。

工事を進める上での予算や工程の管理も、現場監督の大事な役割だ。当時の図面と違う箇所があっても、基本的には決められた予算を超えることはできない。「もちろん、あまりにも大きな変更があれば交渉します。でも、今回の物件は重要文化財。予算はもちろん、予定していない場所にビスを一本打つのにも許可が必要です。そんな限られた条件の中でやりくりするのも、監督の腕の見せどころなんです」。代替できる資材を探したり、効率的に進めることで職人さんの稼働費を抑えたり。監督のやり方一つで、現場はスムーズに回っていく。「自分の段取り次第でなんとでもなるのは、この仕事の面白いところだと思います」。

冷暖房だけでも、選択肢は無数。

冷暖房だけでも、選択肢は無数。

「設備工事は、建物内の環境を整える仕事です。だからこそ、建物の用途によって、使用する機材や工法は大きく変わります」。奏楽堂では、水熱源といって冷温水を使って建物の温度を調整するシステムを採用していた。エアコンよりも初期投資がかかる分、ランニングコストが安いといったメリットがある。「それも、今後何十年も建物を使い続けたいという想いがあるからだと思います。そうじゃなければ、エアコンの方が設置も楽ですし、取り替えるのも簡単ですから」。水熱源一つとっても、機械のメーカーや工事の方法は多岐にわたる。建物の用途に応じて、選択肢は無数にあるのだ。「実際にどうしたら快適な建物ができるのか。設計の段階から相談にのるのも、設備工事の監督の役目です」。

「達成感」よりも、「恐怖心」。

「達成感」よりも、「恐怖心」。

「正直、いつも工事が終わると達成感よりも“怖い”気持ちの方が強いんです」。安田は、工事後の気持ちをこんな一言から話しはじめた。「設備って、建物が使われてはじめて仕事が形になって表れます。そこで実際に人が過ごしてみないと、うまくいっているかどうか分からないんですよ」。普通の建物はもちろん、奏楽堂は“音楽ホール”としての役割も持っている。もし、設備がうまく動かなければ観客が演奏を100%楽しめなくなってしまう。「奏楽堂は、まだ工事が終わっていませんが(※)すでに少しドキドキしています。もし達成感を感じるのだとしたら、足を運んでくれた人が気持ちよく音楽を楽しんでくれた瞬間かもしれません」。

※)2018年5月現在

「ぶっちゃけ、大変な仕事です。」

「ぶっちゃけ、大変な仕事です。」

最後に、彼に就職を考えている学生の方へのメッセージを聞いた。「建設業界の仕事は、大変だと思う学生の方は多いと思います。それは、確かにその通り。実際に働き手も少なくなっています。でも、だからこそチャンスもあると僕は思っています」。今回の奏楽堂のような工事も、十分に対応できる技術を持つ現場監督や職人が減ってきているのが現状だ。「仮に、これから徐々に人の仕事が機械や人工知能に置き換わっていくとしても、技術を理解していない人には、使いこなせないと思います。そして、その技術を若い人に伝えたいと思っている人がこの業界には沢山います。僕だってその1人。だから、いま飛び込んでみるのは面白いんじゃないかな。ただ、現場で会ったら厳しく指導するから、ちゃんと覚悟はしておいてくださいね(笑)」。

<担当社員> 技術部 安田純